[ 先生のためのプログラム:鑑賞学習実践例 ] 「なにに見える?」

対象作家・作品 マックス・エルンスト  ポーランドの騎士 1954年
実践タイトル なにに見える?
ねらい あわせ絵(デカルコマニー)から見立てをしよう。
対象学年 小2
指導の構成 (流れ) 学校     1時間             鑑賞・表現
学校     1時間30分     鑑賞
準備教材 紙、絵の具、パス
学校名 尾張旭市東栄小学校
教諭名 岡島叔子(2004年度)

実践のねらい

この実践は、愛知県美術館常設のエルンスト「ポーランドの騎士」を見て、美術作品を見る楽しさを知り、美術館に関心を持つことをねらいとしている。  

この作品に使われているデカルコマニーの技法は、偶然の働きによりできた思わぬ形を、何かに見立てる表現活動であり、児童の豊かな想像力を養うことができると考える。さらに、美術作品に用いられている技法を自ら楽しむことで、美術作品を見ることに関心が持てると考える。  

本校では、毎年2年生の3学期に愛知県美術館に行き、事前に学校で鑑賞した作品の本物を見る校外学習(図工と生活科の合科)を計画しているため、学年全体で美術館を活用した鑑賞学習を実施している。この実践は、5年続いている。

実際の様子(授業の流れは指導案参照)

  1. 大きな図版で、「ポーランドの騎士」を見て話し合う。(写真1)
  2. 合わせ絵の技法について知り、実際に絵の具で合わせ絵を楽しむ。(写真2)
    《合わせ絵の手順》
       (1)紙を2つに折り、折り目をつける。
       (2)絵の具をチューブから直接紙にしぼり出す。(3色まで)
       (3)水を少し加える。(3滴とした)
       (4)紙を合わせ、手のひらで強く押えつける。
       (5)紙をそっとめくる。
  3. できた形や模様から、何かを見立てて、パスで描き足す。
  4. 出来上がった児童作品。(写真3)
  5. 愛知県美術館で本物の作品を見る。(写真4)
「ここに馬がいるよ!」
「どうやってかいたのかな?」(写真1)
あわせ絵をやってみよう。(写真2)
出来上がった児童作品
「おんなのこ」(写真3)
美術館へ出かけて本物をみる。(写真4)

感想および今後の課題

児童は事前学習をしているため、美術館では、大変興味を持って鑑賞することができた。また、本物を前にして、色の美しさ、大きさに感動し、また美術館に来たいという感想を多く聞くことができた。感受性豊かな低学年の時期に本物のよさに触れ、感動や驚きや発見、心の潤いなどを体験させることは大変有意義であると感じた。

本校では、2年生が美術館へ行く活動が定着しているが、全学年で美術館見学を行える環境にある学校は多くないと思われる。この実践では、授業研究および研究協議会に学芸員さんをお招きし、他の先生方に鑑賞学習の大切さを啓蒙する機会を持った。