リニューアルを終えて
愛知県美術館は、都市型の複合的な文化施設である愛知芸術文化センターの中の美術館として、1992年に開館しました。以来、愛知県美術館は中部圏の中核的な美術館としての基本理念愛知県新文化会館建設基本計画を掲げ、美術・文化の新しい展開に積極的にかかわりながら活動し、発信する美術館を目指してきました。
開館から四半世紀を経て、世界的な情報ネットワークの整備や、人々の関心の多様化、外国人観光客・在留外国人の増加など、美術館を取り巻く社会環境は大きな変化を遂げています。こうした変化を受け、2018年には愛知県文化芸術振興条例が施行されました。このリニューアルを機に、愛知県美術館は、より創造的で多様性に富む社会の実現に寄与すべく、美術館の基本的な使命である美術作品の収集、展示、保存、調査・研究、教育・普及を土台としながら、次の四つの視点を重視した活動を展開していきます。
1. INTERMEDIATION 国際性と地域性
国内外の美術館・博物館やアーティスト、そして美術と文化を支援する多くの組織や個人の方々と広くつながることで、多彩で国際性豊かな展覧会をはじめとするプログラムを提供します。また、つねに地域の美術と文化の動きに目を向け、その独自性を捉えながら、地域と国内外の美術・文化をつなぐコミュニケーションの場となることを目指します。
2. ACCESSIBILITY 発信と共有
愛知県美術館のコレクションは、きわめて幅の広いジャンルと時代にまたがっています。そのコレクションにまつわる膨大な情報を、さまざまな媒体を通じて、ときに独自の視点を交えながら広く発信します。またそれにより、いつでもだれでもコレクションの情報にアクセスし、知識を共有することができる、より開かれた美術館を目指します。
3. DIVERSITY 多様性と独自性
芸術に関する資料を広範囲に収集するアートライブラリーをはじめ、専門性の高い施設を複数擁する大型施設の中の美術館という独自の立地を生かしながら、日増しに多様化する表現やメディアまで射程に入れた美術館活動を行います。またこれらの表現を鑑賞することを通じて、さまざまな価値観に触れることのできる場となることを目指します。
4. CREATIVENESS 自由と創造性
さまざまな人々が、自由でヴァリエーションに富んだ新しい作品を発表し、それを親しく鑑賞することができる場と機会を日常的に提供します。そして、同時代に生きるわたしたち皆で、鑑賞や創造の喜びを共有し、これからの美術と文化を支えていくことを目指します。