館長メッセージ

愛知県美術館は、1992年(平成4年)10月に愛知芸術文化センターとともに開館し、2017年(平成29年)に開館25周年を迎えました。2017年11月からは、大規模改修工事のための休館にはいり、2019年(平成31年)4月にリニューアル開館――第二の開館を迎える予定です。

愛知県美術館は、この間、着実に実績を積み重ねてきました。110本以上の企画展を開催し、コレクション展、ギャラリーを合わせた総入場者数は、のべ約2300万人に達します。これほど多くの観客の皆さまに親しまれてきたことは、美術館にとって大きな喜びであり、また誇りとするところです。

また、開館当初において約3000件を数えたコレクションは、約8000件と、二倍以上に増えました。これには、愛知県内外の多くの企業・個人の皆さまからのご寄附・ご寄贈が、大きく与っております。充実したコレクションこそが美術館活動の基盤であり、活発な調査研究や展覧会の開催を可能にする――愛知県美術館は、このようなきわめて正当な考え方に基づいて、開館以前から優れたコレクションの構築に努めてきましたし、そのような姿勢が皆さまの賛同を得て、寄附金や作品寄贈に結実したものと確信しております。ご寄付・ご寄贈いただいた皆様には、この場を借りてあらためて御礼申し上げます。

このような活動の蓄積は、美術館の性格を少しずつ変化させてきました。それを象徴的に示しているのが、3000点にのぼる木村定三コレクションの受贈と、あいちトリエンナーレの開催です。モダン・アートを主な活動領域とする美術館から、総合的な美術館へと、愛知県美術館は成長・発展してきたのです。

一方、この25年の間に、日本の社会は、バブル経済の崩壊やリーマンショック、また阪神淡路大震災と東日本大震災をはじめとする大規模な天災など、大きな変動に見舞われてきました。グローバリゼーションや少子高齢化社会の到来は、先立つ世代がこれまでに経験したことのない次元のものと言えるでしょう。また、科学技術の進展によるIT革命は、あらゆる面において私たちの生活を変えてきましたし、そのスピードは加速していきます。

このような変化の中で、美術館に求められる役割や機能、そして価値も、変化してきています。それは、一面では美術自体の変化に起因するものであり、また社会のなかでの美術や美術館の意味の変化に由来するものでもあります。現代の美術館は、文化や伝統を守り、次の世代に引き継ぎながら、同時に新しい価値を創造し、定義していくという、困難な課題を、与えられていると言えるのではないでしょうか。リニューアルを機に、愛知県美術館は、この課題に応えるべく、より一層の努力を続けていく所存です。皆さまのご支援、ご協力をお願いする次第です。

2018年11月19日

愛知県美術館
館長  南 雄介