館長メッセージ

ごあいさつ

 現在、世界の大多数の国々は、新型コロナウィルス感染症の流行により、甚大な影響を被っています。今年の初めごろから明らかになったコロナウィルスの脅威は、わずか数か月のうちに、世界の多くの都市で、また国々で、風景を一変させてしまいました。グローバルな交通・通信・流通のネットワークの拡大と進化に基づいていた社会、経済、文化は、今や100年に一度ともいわれる危機に直面しており、いまだにその解決は見通せていません。

 愛知県美術館の活動も、この「コロナ危機」によって大きな影響を受けました。本年1月3日に開幕した「コートールド美術館展」は、マネ、セザンヌ、ルノワール、ゴーガンなど、印象派・ポスト印象派の巨匠たちの、まさに代表作ともいえる傑作を多数含むもので、来館されたお客様方からも、大変な好評を博しておりましたが、感染拡大防止のための外出自粛が求められるなかで、2週間の会期を残し、3月1日をもって閉幕することとなりました。

 年度が改まった4月3日に開幕した「大浮世絵展」も、開会後3日で臨時休館し、結局再開されることなく終わりました。6月から9月にかけて開催される予定であった「ジブリの大博覧会」も、すでに延期が決まっております。また、8階ギャラリーの利用のキャンセルも続きました。

 4月に発せられた国及び愛知県の緊急事態宣言による外出自粛の要請と、それに呼応した県民の皆様の献身的な努力により、5月末の現在、愛知県においては、状況は好転し始めているようにも見受けられ、感染拡大防止に十分な配慮を行った新しい生活様式に則った形で、以前の日常を取り戻そうとする動きもみられるようになりました。愛知県美術館においても、早期の再開を目指して、感染防止のための対策をはじめ、様々な検討を行っているところです。芸術は、文化は、人間の生活にとって欠くことのできないものです。すぐれた芸術作品に触れる機会を、県民の皆様に取り戻していただけるよう、つとめたいと思います。

 それでは、現在予定されている今年度後半の企画展をご紹介しておきましょう。

 9月から12月にかけては、「ライデン国立古代博物館所蔵 古代エジプト展」を開催いたします。オランダのライデン国立古代博物館の、古代エジプト関連のコレクションは2万5千点を数え、世界でも五指に入るものです。当館では初めての古代エジプト展になりますが、ミイラや棺を含む約250点により、古代エジプト文明の様々な側面を紹介いたします。

 年が明けて、2021年1月から4月にかけては、東海地方では初めてとなる、横尾忠則の大規模個展「GENKYO横尾忠則」を開催いたします。1936年に兵庫県西脇市に生まれた横尾忠則は、1960年代からグラフィック・デザイナー、イラストレーターとして、また1980年代からは画家としても活躍を続け、60年にわたって時代の第一線で、ジャンルを横断しながら膨大な作品群を生み出してきました。本展は、「作品による自伝」を基本的なコンセプトとしながら、横尾が近年展開している「原郷」を、その創造の核心と位置づけ、横尾芸術の本質に迫ろうとするものです。多岐にわたる横尾の活動の全貌をとらえた展覧会としては、ほぼ20年ぶりとなるもので、多方面からの注目を集めることでしょう。

 いかなる状況下においても、芸術や文化を守り、次代に伝え、その創造を支援していくのが、美術館の使命です。私たち職員一同は、活動的で魅力的な美術館の実現を目指して、努力を続けていく所存ですので、みなさまのより一層のご支援、ご協力をお願いいたします。今後の美術館の活動については、しかしながら、様々な事情により、変更を余儀なくされることも考えられます。新しい事態が生じた際には、その都度速やかにウェブサイト等を通じてお知らせしていきますので、ご確認の上ご来館されるようお願いいたします。

2020年5月
愛知県美術館
館長  南 雄介