企画展

アブソリュート・チェアーズ 現代美術のなかの椅子なるもの

Absolute Chairs: The Representation of the Chair in Contemporary Art

椅子の機能は、座る姿勢を支えるというだけにとどまりません。権威の象徴として表されることもあれば、安楽や拘束のための道具となることもあり、また複数が寄り集まることでコミュニケーションの場を生み出すこともある椅子。椅子は多くのデザイナーや建築家の創造性を喚起する究極のテーマであると同時に、アーティストにとっても魅力的なモチーフとなってきました。アーティストたちは椅子と結びつく多様なイメージをとらえ、作品を通じて社会の中の不和や矛盾、個人的な記憶や他者との関係性などを浮かび上がらせてきました。現代美術における椅子は、日常で使う椅子にはない極端なあり方、逸脱したあり方によって、私たちの思考に揺さぶりをかけます。
本展では、こういった作品を「アブソリュート(絶対的・究極的)」な椅子と呼ぶことにして、主に戦後から現代までの平面・立体・写真・映像・ダンスなど幅広いジャンルの作品約80点における「椅子なるもの」の表現に着目し、椅子という身近な存在から社会や人間の有り様を考察します。

基本情報

[会期]
2024年7月18日(木)―9月23日(月・振休)
[会場]
愛知県美術館(愛知芸術文化センター10階)
[開館時間]
10:00-18:00、金曜日は20:00まで(入場は閉館の30分前まで)
[休館日]
毎週月曜日(ただし8月12日[月・振休]、9月16日[月・祝]、9月23日[月・振休]は開館)、8月13日(火)、9月17日(火)
[観覧料]
⼀般1,500(1,300)円
⾼校・⼤学⽣1,300(1,100)円
中学⽣以下無料
[購入場所]中日新聞販売店、Boo-Woo(ブーウー)チケット、ローソンチケット、チケットぴあ、主要プレイガイド、愛知県美術館チケット売場(当日券のみ)
※( )内は前売券および20 名以上の団体料⾦です。
※左記料金で本展会期中に限りコレクション展もご覧になれます。
※身体障害者手帳、精神障害者保健福祉手帳、療育手帳(愛護手帳)、特定医療費受給者証(指定難病)のいずれかをお持ちの方は、各券種の半額でご観覧いただけます。また付き添いの方は、各種手帳(「第1種」もしくは「1級」)または特定医療費受給者証(指定難病)をお持ちの場合、いずれも1名まで各券種の半額でご観覧いただけます。チケットをお買い求めいただき、当日会場で各種手帳(ミライロID可)または特定医療費受給者証(指定難病)をご提示ください。付き添いの方はお申し出ください。
※学生の方は当日会場で学生証をご提示ください。
[主催等]

[主催]愛知県美術館、中日新聞社
[協力]株式会社国際デザインセンター、国立民族学博物館

[お問い合わせ先]

愛知県美術館 TEL: 052-971-5511(代)

見どころ

■アーティストによる椅子の探求。なぜ椅子は魅力的なのか?
椅子に魅了されてきたのはデザイナーや建築家だけではありません。アーティストもまた、椅子というモチーフに惹きつけられてきました。
既製品を美術作品に用いた最初の「レディメイド」であり、その後の美術のあり方を決定づけたとされるマルセル・デュシャンの《自転車の車輪》(1913年)に、椅子が使われていることは興味深く、本展でも同作を椅子表現の原点として扱っています。デュシャンから始まった椅子の探求は戦後のアーティストたちに引き継がれ、とりわけ1960年代以降多くの作品に椅子が登場するようになります。

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宮永愛子《waiting for awakening -chair-》2017年 撮影:木奥恵三 ©MIYANAGA Aiko Courtesy of Mizuma Art Gallery

■日本初公開!ベルギーを代表するダンス・カンパニー、ローザスのインスタレーション

2013年に開始された《Re: ローザス!》は、ローザスの記念碑的な作品《ローザス・ダンス・ローザス》の中でも出色と言える椅子を使ったパートの振り付けのレクチャーを公開し、このダンスを踊った映像を募集するというプロジェクトです。本展では世界中から投稿された700本近い動画の中から半数の約350本をインスタレーションとして構成したものを、日本で初公開します。

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ローザス《Re: ローザス!》2013-2024年(継続中)、アンネ・ファン・アールスホットによる《Re: ローザス!》ワークショップ「マリア・ボードシャプ・リセウム(MABO)が《ローザス・ダンス・ローザス》を踊る」カーイテアター、ブリュッセル、2013年
©Anne Van Aerschot Courtesy of Rosas

■国内外のアーティストによる新作を出品。座れる椅子も
日本初出展となるミシェル・ドゥ・ブロワンによる新作《樹状細胞》は、国内で入手した会議椅子を素材として、アーティストが日本に滞在して制作しました。
また檜皮一彦による、名古屋の街のバリアを特製の「車椅子編み機」で記録するプロジェクトや、副産物産店(矢津吉隆・山田毅)がアーティストのスタジオや美術大学で回収した廃材を用いて制作した来場者のための椅子など、本展のために制作された新作も公開されます。
副産物産店による椅子だけでなく、会場には岡本太郎《坐ることを拒否する椅子》や、オノ・ヨーコ《白いチェス・セット/信頼して駒を進めよ》など、来場者が座れる椅子も出展しています(※オノの作品は平日限定でお座りいただけます)。

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ミシェル・ドゥ・ブロワン《樹状細胞》2024年 写真:加藤 健

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副産物産店《Absolute Chairs #1_rodinʼs crate》2024年、作家蔵


出品作家(アルファベット順)
フランシス・ベーコン、ミロスワフ・バウカ、ハンス・オプ・デ・ビーク、ダラ・バーンバウム、ミシェル・ドゥ・ブロワン、副産物産店、クリストヴァオ・カニャヴァート(ケスター)、マルセル・デュシャン、アンナ・ハルプリン、檜皮一彦、石田尚志、工藤哲巳、スッティー・クッナーウィチャーヤノン、草間彌生、ジム・ランビー、宮永愛子、名和晃平、岡本太郎、オノ・ヨーコ、ダイアナ・ラヒム、ローザス、シャオ・イーノン&ムゥ・チェン、高松次郎、竹岡雄二、潮田登久子、アンディ・ウォーホル、渡辺眸、YU SORA


図録
『アブソリュート・チェアーズ 現代美術のなかの椅子なるもの』

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[価格]3,300円(税込)
[頁数]172頁(カラー116頁、モノクロ56頁) 
[論考執筆]建畠晢(埼玉県立近代美術館館長)、山口惠里子(筑波大学教授)、木下知威(東京工業大学)、佐伯綾希(埼玉県立近代美術館学芸員)、鵜尾佳奈(当館学芸員)
[デザイン]大溝裕(Glanz)
[編集・制作・発行]平凡社

「アブソリュート・チェアーズ」建畠晢
「アブソリュート・チェアーズ前史──19世紀後半のフランス絵画にみる椅子の諸相」佐伯綾希
「なぜ椅子はアーティストを魅了するのか?
─1960年代以降の椅子表現小史」鵜尾佳奈
「椅子─グウェン・ジョンとフランシス・ベーコンの場合
」山口惠里子
「車椅子の再組成」木下知威

第1章 美術館の座れない椅子
Chapter 1. Unsittable Chairs in Museums
第2章 身体をなぞる椅子
Chapter 2. Chairs Tracing the Human Body
第3章 権力を可視化する椅子
Chapter 3. Chairs to Visualize Authority
Column 椅子が運びくるもの
 木下知威
第4章 物語る椅子
Chapter 4. Narrative Chairs
第5章 関係をつくる椅子
Chapter 5. Chairs Which Establish Relationships
作家解説
椅子の文化と美術をめぐるブックリスト
出品リスト

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