企画展

表現主義彫刻 ドイツ現代美術へのプロローグ. 1890-1920

Expressionist Sculpture

 表現主義は、フォーヴィスムやキュビスムなどとならぶ今世紀初頭の重要な美術運動です。爛熟した19世紀末の文化を母胎として誕生したこの美術運動は、近代社会と自然の関わりのなかで人間存在の実態を注視し、自己の内面を掘り下げ、原初的な生命の発露に眼目を据えました。日本でも、遅くとも1920年代には文芸雑誌などをとおして積極的に紹介されはじめ、とくにドレスデンに興った美術家集団「ブリュッケ」の活動は比較的よく知られています。一方で、日本の美術館がこの表現主義の運動に積極的に目を向け、包括的な出品要請を行うなどして独自に企画した展覧会は、これまで開催される機会に恵まれませんでした。とくに彫刻の分野に関しては、フランスやイタリアへの関心が強かったことも手伝って、ごく限られた作家以外ほとんど知られていません。

 今回の展覧会は、そうした状況をうけ、比較的近年になって欧米でも高く評価されるようになってきた表現主義の彫刻が、20世紀美術の国際的な展開のなかに燦然たる光彩を放っていたさまを浮き彫りにすることを目的に企画されました。その独特の「かたち」からほとばしる言葉をより深く味わっていただけるよう、彫刻作品約60点に加え、絵画約20点、版面・素描約60点も展示いたします。人間性の解放に対してあらためて関心が向けられているこんにち、そうした表現主義の美術は、わたくしたちに多くの示唆を与えてくれる可能性をもっていると言えるでしょう。

第1章 象徴主義から表現主義へ
ジョルジュ・ミンヌ、ヴィルヘルム・レームブルック、エルンスト・バルラッハ、ケーテ・コルヴィッツ、ミリー・シュテーガー、ベルンハルト・ヘトガー、ゲオルク・コルベ、ゲルハルト・マルクス、ルネ・ジンテニス、フランツ・マルク

第2章 キルヒナーとその周辺
エルンスト・ルートヴィヒ・キルヒナー、エーリヒ・ヘッケル、カール・シュミット=ロットルフ、マックス・ペヒシュタイン、ヘルマン・シェーラー

第3章 抽象彫刻への道
ルドルフ・ベリング、オットー・グートフロイント、ヴィリアム・ヴァウアー、マルガレーテ・モル

基本情報

[会期]

1995年10月27日(金)~1996年1月15日(月)

[会場]

愛知県美術館(愛知芸術文化センター10階)

[開館時間]

10:00~18:00
金曜日は20:00まで(入館は閉館の30分前まで)

[休館日]

毎週月曜日(ただし1月15日[月・祝]は開館)、12月28日(木)~1月3日(水)

[観覧料]

一般 1,100(900)円
高校・大学生 800(600)円
小・中学生 500(300)円
※()内は20名以上の団体料金

[主催等]

[主催] 愛知県美術館、中日新聞社、東海テレビ放送

[後援] 愛知県・岐阜県・三重県・名古屋市各教育委員会、JR東海

[協力] 日本航空

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