企画展

世紀末に花開いた日本趣味 ウィーンのジャポニスム

Japonisme in Vienna

 19世紀の後半のヨーロッパでは、万国博覧会で日本の伝統文化が紹介されるとともに、浮世絵や工芸を中心とする美術品が盛んに海を渡りました。それらは次第に多くの美術愛好家や芸術家の関心を集め、そうした日本美術の感化は絵画から工芸にまたがる総合的なジャポニスム(日本趣味)という現象としてヨーロッパ各地、アメリカに広がりました。エキゾティスム(異国趣味)による模倣から始まったジャポニスムは、次第に日本美術の独自の美的特質を摂取する段階にいたり、日本美術はとりわけ印象派、後期印象派、アール・ヌーヴォーにおけるもっとも重要な着想源のひとつとなりました。

 今回の展覧会で焦点を当てるウィーンでは、日本との本格的な文化交流は1873年の万国博覧会に始まります。当時のウィーンでは過去の美術の模倣に終始していた「歴史主義」が主流をなしていましたが、1890年代の後半からは分離派(ゼッツェッション)、ウィーン工房などを舞台に、画家クリムト、シーレ、建築家オットー・ヴァーグナー、工芸デザイナーのヨーゼフ・ホフマン、コロマン・モーザーといった意欲的な芸術家たちが、絵画にとどまらず建築、デザイン、工芸等、あらゆる分野で時代の新しい美意識に応える様式を模索しました。そこでも日本美術は大胆に取り入れられ、個性的な表現の成立に大きく寄与しました。

 本展では、オーストリア国立工芸美術館の所蔵品を中心に、ウィーンのジャポニスムの成立と発展に多大な影響を与えた約80点の日本美術を含めて、絵画、彫刻、工芸など約260点の作品で、その軌跡をたどります。

基本情報

[会期]

1995年4月11日(火)~1995年5月14日(日)

[会場]

愛知県美術館(愛知芸術文化センター10階)

[開館時間]

10:00~18:00
金曜日は20:00まで(入館は閉館の30分前まで)

[休館日]

毎週月曜日

[観覧料]

一般 1,100(900)円
高校・大学生 800(600)円
小・中学生 500(300)円
※()内は20名以上の団体料金

[主催等]

[主催] 愛知県美術館、オーストリア国立工芸美術館、中日新聞社、中部日本放送

[後援] オーストリア大使館、愛知県・岐阜県・三重県・名古屋市各教育委員会、JR東海

[協力] 日本航空

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