企画展

聖なるかたち 後期ゴシックの木彫と板絵──アーヘン市立ズエルモント=ルートヴィヒ美術館所蔵──

HEILIGE UND MENSCHEN: Suermondt-Ludwig-Museum, Museen der Stadt Aachen

 わたくしたちは、14世紀から16世紀にかかるその時代を、彫刻や板絵、あるいは建築の様式をもとにして、後期ゴシックと呼んでいます。この時、イタリアにはルネサンス美術が華やかに開花し、いっぽうアルプスよりも北の地方では、中世美術が絶頂期を過ぎて、やがて硬直した枯死の時を迎え待つ最後の爛熟期が訪れていました。そうした中世末期の都市に生きた市民たちは、商業や手工業を営みながら蓄えた現実的な感覚や趣味を宗教美術にも反映させ、世俗化を招きながらも、独特の洗練を加えながら近世の扉を開こうとしていたのです。「後期ゴシック」美術は、ひとつの時代の区切りを超える深い情感をたたえたキリストの像や聖母の像を産みだしました。今回の展覧会「聖なるかたち」は、このような時代のドイツとネーデルランドに焦点を当て、木彫と板絵に表された聖母の形の変遷と主題の展開を跡づけようとしています。この分野の彫刻や絵画は、その美術史上の重要さにもかかわらず、おもに輸送と展示にかかわる作品保存の問題から、日本ではこれまでほとんど紹介される機会に恵まれませんでした。同様に、今後もまた、同じ理由からこうした展覧会が開催されることは不可能と言っても過言ではありません。しかし、このたびドイツの古都アーヘンにあるズエルモント=ルートヴィヒ美術館の御厚意と全面的な御協力によって、数々の困難を克服し、木彫55点、板絵21点、そして石彫1点の展観が実現しました。それは、ヨーロッパ中西部の文化の原点とも言える後期ゴシックの美術に触れるためには、またとない絶好の機会と言って良いでしょう。

基本情報

[会期]

1994年9月23日(金)~1994年11月3日(木)

[会場]

愛知県美術館(愛知芸術文化センター10階)

[開館時間]

10:00~18:00
金曜日は20:00まで(入館は閉館の30分前まで)

[休館日]

毎週月曜日(ただし10月10日[月・祝]、10月31日[月]開館)、10月11日(火)

[観覧料]

一般 1,100(900)円
高校・大学生 800(600)円
小・中学生 500(300)円
※()内は20名以上の団体料金

[主催等]

[主催] 愛知県美術館、朝日新聞社

[後援] 外務省、文化庁、ドイツ連邦共和国総領事館、京都ドイツ文化センター、名古屋テレビ放送、JR東海、ZIP-FM、愛知県教育委員会、名古屋市教育委員会

[協力] 日本航空

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