企画展

戸張孤雁と大正期の彫刻

Tobari Kogan and Modern Japanese Sculpture

 明治末からの個人主義的近代思想の高まりは、芸術において個性や生命観などの表現意欲として現れました。物の外形写生に重きが置かれていた日本の洋風彫刻は、ロダンに傾倒した萩原守衛や高村光太郎らによって、真の意味で近代の扉が開かれたといえます。

 明治34年(1901)に渡ったアメリカで萩原守衛と親交した戸張孤雁(明治15年(1882)-昭和2年(1927))は、同39年の帰国後洋風の写実的挿絵の普及に努めながら、守衛を介して中原悌二郎や中村彝など「中村屋グループ」の美術家と交流し、また彫刻への理解を深めましたが、43年守衛の急死後その跡を継ぐように彫刻に転じ、《足芸》(大正3)や《煌めく嫉妬》(同13)など、柔らかな肉づけと繊細で豊かな陰影をもつ造形に生動感と象徴的な感情表現を溶かし込んだ独特の作品により、悌二郎らとともに大正期の彫刻に大きな足跡をのこしました。また孤雁は大正の初めから創作版画にも本格的に取り組み、7年に山本鼎らと日本創作版画協会を結成、11年には日本初の版画技法書『創作版画と版画の作り方』を刊行するなど、その制作と普及両面に力を注いだほか、水彩画や評論などにもわたって新時代の芸術を追求しました。

 この展覧会は、彫刻約35点、素描や水彩など絵画約60点、版画約15点と愛知県美術館所蔵の版木によって孤雁の創造の全容を紹介するとともに、ロダンを含む16作家の彫刻約35点で明治末から昭和初期にかけての日本彫刻界の状況を展観し、彫刻家孤雁の特質や位置をより明らかにしようとするものです。

基本情報

[会期]

1994年1月25日(火)~1994年3月6日(日)

[会場]

愛知県美術館(愛知芸術文化センター10階)

[開館時間]

10:00~18:00
金曜日は20:00まで(入館は閉館の30分前まで)

[休館日]

毎週月曜日

[観覧料]

一般 700円(500)円
高校・大学生 500(300)円
小・中学生 300(200)円
※()内は20名以上の団体料金

[主催等]

[主催] 愛知県美術館

[後援] JR東海

関連イベント