企画展

安田靫彦展

Yasuda Yukihiko Retrospective

 安田靫彦(1884-1978)は、歴史画や静物画などに近代の造形感覚を積極的に取入れ、古典的で均整のとれた表現を完成させた画家として知られています。その画業は明治30年代前半の日本画研究団体である紫紅会、紅児会の中心作家としての活動、初期院展への出品に始まり戦後の院展を中心にした活動まで、約80年という長期にわたっています。この間の日本画の歩みは、岡倉天心の指導のもとで横山大観や菱田春草に代表される初期院展の作家たちが新しい日本画表現を生みだした時代から、大正期の日本画における写実表現や個性的表現が追及された時期を経て、昭和期には新古典主義を中心としたひとつの完成期を迎え、そして戦後の新しい展開へとつながっています。安田靫彦はこの近代日本画の主要な展開に自らの彩管をもって加わり、とりわけ昭和にはいると大和絵を基礎として理知的で高雅な画風を完成し、小林古径、前田青邨とならんで新古典主義の画家として注目すべき作品を世に送りました。戦後は、その表現にさらに明快さを加え、円熟した画風へと深みをみせました。

 この展覧会は、初期のさまざまな試みのなかで制作された重要な作品から、新古典主義の時代の代表作、そして戦後の円熟した作風を示す作品まで、素描を含む約120点によってその画業を解雇するものです。この機会に、近代日本画の一つの頂点に立つ安田靫彦の芸術を存分にお楽しみいただきたく存じます。

基本情報

[会期]

1993年9月3日(金)~1993年10月17日(日)

[会場]

愛知県美術館(愛知芸術文化センター10階)

[開館時間]

10:00~18:00
金曜日は20:00(入館は閉館の30分前まで)

[休館日]

毎週月曜日(ただし10月11日[月・振]は開館)、10月12日(火)

[観覧料]

一般 1,000(800)円
高校・大学生 800(600)円
小・中学生 400(200)円
※()内は20名以上の団体料金

[主催等]

[主催] 愛知県美術館、中日新聞社、中部日本放送

[後援] JR東海、愛知・岐阜・三重・名古屋各県市教育委員会

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