企画展

小川芋銭展

Ogawa Usen Retrospective

 小川芋銭は1868(慶応4)年に江戸時代に生まれました。廃藩置県で一家は茨城県の牛久に移りますが、芋銭は上京して本多錦吉郎の彰技堂で洋画を学び、はじめ『朝野新聞』の客員となり漫画家として出発しました。その後父の厳命で牛久に戻り農業に従事するかたわら、水戸の新聞『茨城日報』に漫画を送ったのをきっかけに『平民新聞』『東京朝日新聞』『贖賣新聞』などに漫画や挿絵を描くようになりました。また一方で日本画にも本格的に取り組み、斎藤隆三、横山大観、小杉未醒らに強く推されて、1917(大正6)年には日本美術院同人となり、1938(昭和13)年に亡くなるまでおもに院展を中心に活躍しました。

 明治から昭和初期にかけて日本画の世界には、横山大観、菱田春草らの試みた朦朧体や、速水御舟、小茂田青樹らに顕著な細密描写の手法にみられるように、社会の近代化に伴う大きな変革の波が押し寄せてきました。しかし、芋銭はこうした近代日本画を形成していった動きとはほとんど無縁の所にいました。都会の喧騒を離れるように牛久の地に住まい、自己の内面の奥深くで自然や風土とひそやかな語らいをつづけながら、確かな「土」の匂いのうちに豊かなイメージを育んできました。軽妙さの中に時として妖しくさえある<水魅山妖>の郡、のどかな農村の生活、縹渺とした中に夢幻感を漂わせる自然、理想境としての桃源郷など多様な世界には、いずれも不可知なものとしての自然の奥深さとそこに育まれる生命の喜びとが、軽妙な筆致で象徴的に表現されています。近代という時代にあって、自然と人間の結び付きの本質的なあり方を求めつつ、彼は人間の生き方そのものを鋭く問いかけているのです。

 今回の展覧会は芋銭の最も代表的な作品約90点を集め、そうした芋銭の芸術の軌跡をたどるとともに、近代日本美術史においてそれら意味するところのものをあらためて探ってみようとする試みです。

基本情報

[会期]

1993年6月4日(金)~1993年7月4日(日)

[会場]

愛知県美術館(愛知芸術文化センター10階)

[開館時間]

10:00~18:00
金曜日は20:00まで(入館は閉館の30分前まで)

[休館日]

毎週月曜日

[観覧料]

一般 800(600)円
高校・大学生 600(400)円
小・中学生 300(200)円
※()内は20名以上の団体料金

[主催等]

[主催] 愛知県美術館、、東京国立近代美術館、日本経済新聞社、テレビ愛知

[後援] JR東海

[協賛] 興亜火災海上保険

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