企画展

カンディンスキー&ミュンター 愛と創造の日々

WASSILY KANDINSKY & GABRIELE MUNTER 1901-1917

 1901年の暮れ、アメリカ帰りの若い女性が、ミュンヘンに設立したばかりの小さな美術学校の門をくぐりました。彼女の名前はガブリエーレ・ミュンター。やがて彼女は、この学校の教師を務めていたロシア出身の画家ヴァシリー・カンディンスキーと出会い、愛し合うようになりました。妻のいたカンディンスキーは、家庭を捨て、ミュンターとともに、世間の目を逃れるかのように長い旅に出ます。オランダ、スイス、チュニジア、イタリア、そしてフランスと、諸国を転々とする生活は、5年間におよびました。二人は1908年にようやく長い旅を終え、ミュンヘン郊外の小さな町ムルナウに落ち着きます。アルプスの牧歌的な自然に囲まれたこの町で、ミュンターは二人で暮らすための一軒家を手に入れました。それから数年にわたって、ムルナウとミュンヘンを拠点として制作に打ち込む日々を送った二人は、画家仲間たちと新しい芸術の理想について語り合い、バイエルン地方の素朴な民芸品からインスピレーションを汲み取り、そして互いに励まし合いながら、それぞれに個性的な作風を開花させます。ミュンターは表現力に富んだ色彩によって、日常生活の中にふと訪れる静かな喜びを詩情豊かに描きました。一方、芸術の精神的な価値を何よりも重んじたカンディンスキーは、目に見える自然の姿を表すことから次第に離れ、色彩がシンフォニーのように響き合う壮麗な抽象絵画を生み出しました。さらに芸術雑誌『青騎士』の出版、ドイツ内外の新しい芸術作品を集めた展覧会の開催など、二人の仲間たちとともにめざましい活動を繰り広げます。しかし、1914年に第一次世界大戦が始まると、カンディンスキーはひとりロシアに帰り、二人は戦争中のストックホルムでの再会を最後に、二度と会うことはありませんでした。

 この展覧会は、ミュンターとカンディンスキーの作品126点によって、愛情と理想を分かち合った二人の芸術家の、出会いから別離までの日々をふりかえるものです。

基本情報

[会期]

1997年2月8日(土)~1997年3月16日(日)

[会場]

愛知県美術館(愛知芸術文化センター10階)

[開館時間]

10:00-18:00
金曜日は20:00まで (入館は閉館の30分前まで)

[休館日]

毎週月曜日

[観覧料]

一般 1,100(900)円
高校・大学生 800(600)円
小・中学生 500(300)円
※()内は20名以上の団体料金

[主催等]

[主催] 愛知県美術館、中日新聞社、中部日本放送

[後援] 大阪・神戸ドイツ連邦共和国総領事館、愛知県・岐阜県・三重県・名古屋市各教育委員会、JR東海

[企画協力] レーンバッハハウス・ミュンヘン市立美術館

[協力] ルフトハンザ ドイツ航空

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