企画展

理智と幻想のシュルレアリスト 北脇昇展

Noboru Kitawaki: A Retrospective

 北脇昇(1901-1951)は名古屋に生まれ、京都で活躍した、わが国の前衛絵画を代表する画家のひとりです。シュルレアリスムを独自の方法で深化した彼の画業は、イメージを通して観念や思想を造形化する現代美術の先駆として、近年ますます評価を高めつつあります。

 彼は1930年代の後半にシュルレアリスムに出会い、イメージの変容に関心を持ちました。そして《空港》のように、草木や石など身近なものに広大なヴィジョンを重ね合わせた特異な幻想絵画を制作しました。しかし彼はこうしたイメージの実験にとどまらず、うつろいゆく物の現れと、その背後に隠された不変の構造との関係についての探求へと踏み込んでいきました。そのユニークな実験は認知(見ること)のメカニズムの探求としての「観相学シリーズ」や、数学や東洋の易学を取り入れた「図式絵画」として結実しますが、これらの作品は当時の日本では他に例を見ない、方法論的明晰さを備えたものでした。戦争へと傾斜していく混迷の時代の中で秩序を探求し、ひとつの世界観として提示しようとした画家、北脇昇。彼のきわめて個性的な作品は、現代に生きる私たちにも多くの問題を投げかけているのではないでしょうか。

 本展は1960年にご遺族から国立近代美術館に寄贈された多数の作品を中心に、油彩・素描など130余点で構成されるもので、没後の1953年に開催された京都市美術館での遺作展以来の、本格的なものとしては初めての回顧展となります。

基本情報

[会期]

1997年5月30日(金)~1997年7月13日(日)

[会場]

愛知県美術館(愛知芸術文化センター10階)

[開館時間]

10:00~18:00
金曜日は20:00まで (入館は閉館の30分前まで)

[休館日]

毎週月曜日

[観覧料]

一般 800(600)円
高校・大学生 600(400)円
小・中学生 400(200)円
※()内は20名以上の団体料金

[主催等]

[主催] 愛知県美術館、東京国立近代美術館、京都国立近代美術館、日本経済新聞社、テレビ愛知

[後援] 愛知県・岐阜県・三重県・名古屋市各教育委員会、JR東海

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