企画展
国吉康雄展──アメリカを生きた画家──
Yasuo Kuniyoshi
没後50年を迎えた画家、国吉康雄(1899‐1953)。17歳でひとりアメリカに渡った彼は、美術にめざめ、苦労しながらニューヨークで絵画を学びました。その後ほとんど日本に帰ることなく活動した彼は、戦前戦後を通じてアメリカを代表する美術家のひとりに数えられ、高い評価を得るにいたりました。
しかし国吉が生きたのは、日本人移民排斥、大恐慌、第二次世界大戦と、アメリカ社会が激しく揺れ動いた時代でした。自由と民主主義の理想を掲げるアメリカを信じた彼は、日本人であることで苦しみも味わいました。その作品には一貫して、国の違いを越えた人間としての「いのち」の力に託す希望が読み取れます。国吉は社会の片隅に生きる弱い立場にあるものを描きました。それは国吉が、国や文化や貧富の差を越えて、全ての人間の中に等しくある力強い「いのち」の姿を見出していたからです。国吉がこの「いのち」の姿を見据えることができたのは、彼自身もまた、アメリカの理想と現実のはざま、そしてアメリカと日本という二つの国のあいだに立つ、寄る辺のない存在だったからではないでしょうか。
この展覧会は、アメリカと日本国内より集めた油彩104点、写真作品25点あわせて129点により、国吉の画業を今日の視点から振り返ります。
基本情報
- [会期]
2004年8月6日(金)〜2004年9月26日(日)
- [会場]
愛知県美術館(愛知芸術文化センター10階)
- [開館時間]
10:00〜18:00
金曜日は20:00まで (入館は閉館の30分前まで)
- [休館日]
毎週月曜日(ただし9月20日[月・祝]は開館)、9月21日[火]
- [観覧料]
一般 1,100(900)円
高校・大学生 800(600)円
中学生以下無料
※()内は20名以上の団体料金- [主催等]
[主催] 愛知県美術館、NHK名古屋放送局、NHK中部ブレーンズ
[後援] 外務省、文化庁、アメリカ大使館、愛知県・岐阜県・三重県・名古屋市各教育委員会
関連イベント
■記念講演会①「国吉康雄の夢の島」
[講師] 市川政憲(愛知県美術館館長)
[日時] 2004年8月7日(土)13:30-15:00
[会場] アートスペースA(愛知芸術文化センター12階)
※要申込・聴講無料。
■記念講演会②「国吉康雄──アメリカ人として、芸術家として」
[講師] 小澤善雄氏(アメリカ文化研究家)
[日時] 2004年8月21日(土)13:30-15:00
[会場] アートスペースA(愛知芸術文化センター12階)
※要申込・聴講無料。
■記念講演会③「日米交流150周年記念講演会 ソーシャル・リアリズム1930-1950」
[講師] フレデリック・ハリス氏(画家)
[日時] 2004年9月4日(土)13:30-15:00
[会場] アートスペースA(愛知芸術文化センター12階)
※要申込・聴講無料。
■ギャラリー・トーク(学芸員による展示作品説明会)
[日時] 2004年8月6日(金)18:00-19:00
2004年8月11日(水)、8月19日(木)、9月11日(土)11:00-12:00
※聴講無料。ただし観覧券が必要です。