企画展

愛知曼陀羅──東松照明の原風景──

Aichi Mandala: The Early Works of Shomei Tomatsu

 1950年に写真を表現手段として選びとってから半世紀あまり、東松照明はファインダーごしに世界を凝視し歴史を見つめ続けることで、見る者の想像力を強く刺戟する作品群を次々と産みだしてきました。新たな表現の可能性に果敢に挑むその姿勢は、「ネーヴェル・ヴァーグの旗手」と謳われた1950年代末から「戦後写真の巨人」とまで称される現在まで一貫しています。今日の百花繚乱ともいうべき写真表現の多様性は東松照明の存在なしにはありえなかったであろうとされるほどに後進に与えた影響は絶大であり、また国際的には戦後日本を代表する作家としての地位を確立しています。

 東松照明は1930年に愛知県名古屋市に生まれています。15際の時に廃墟となったこの街で敗戦を迎え、それに続く占領の日々を金網越しに基地が見える町で暮らすなかでその感受性を育むことになります。愛知大学在学中に初めて発表した作品はシュルレアリスム風のものでしたが、同時期に廃墟や基地、あるいは傷痍軍人といった戦争の傷痕である現実にもレンズの焦点をあわせています。「岩波写真文庫」のスタッフとして『水害と日本人』(1954)や『やきものの町 瀬戸』(1955)などのドキュメンタリー写真を撮影した後、フリーとなってからは<占領>や<家>などのなどの衝撃的な連作を発表し、また1960年代に入ると冷徹な眼差しと熱い信念とが結晶する<長崎>や<沖縄>のシリーズが始まり、それはライフワークとして現在も進行しています。一方で<ニューワールドマップ>や<インターフェース>連作など、カラー写真による斬新な表現にも意欲的に取り組んできています。そして、その原点は名古屋時代に、占領軍のフェンス越しに体験した「インターフェース」、アメリカ文化が日本を侵食してゆくのを目撃したことにあります。この展覧会「愛知曼陀羅 ──東松照明の原風景──」は、その最初期から1960年代半ばまでの作品200点によって、表現者東松照明の原点と戦後日本の原風景に迫ろうとするものです。

基本情報

[会期]

2006年6月2日(金)〜2006年7月23日(日)

[会場]

愛知県美術館(愛知芸術文化センター10階)

[開館時間]

10:00〜18:00
金曜日は20:00まで (入館は閉館の30分前まで)

[休館日]

毎週月曜日 (ただし7月17日[月・祝]は開館)、7月18日(火)

[観覧料]

一般 1,000(800)円
高校・大学生 700(500)円
中学生以下無料
※()内は20名以上の団体料金

[主催等]

[主催] 愛知県美術館、中日新聞社

[後援] 愛知県・岐阜県・三重県・名古屋市各教育委員会、中日写真協会

[特別協力] 愛知大学、愛知大学同窓会

[協力] EPSON、富士フイルムイメージング株式会社、株式会社フレームマン、愛知県写真材料商協同組合

[助成] 財団法人 域創造

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