企画展

島田章三展

Shozo Shimada: A Retrospective

 具象画壇を代表する洋画家として活動を続ける島田章三の初期から現在までの仕事をたどり、「かたちびと」と呼ばれる独自の人物像の多様な表現を展観します。

 島田章三は1933年、横須賀に生まれました。小学生のときに敗戦を経験し、青年時代を戦後の混乱のなかで過ごした島田は、国吉康雄やベルナール・ビュッフェらの絵画に近づいていきます。東京藝術大学に入学した島田は、在学中の1957年、時代の不安感を抱えながら荒地に立つ女性の姿が描き出された《ノイローゼ》を制作します。初めて国画会に出品したこの作品で国画賞を受賞した島田は、近代的な造形に人間的な情感を込める具象画のスタイルを携えて画壇に登場することになりました。1967年には、明るい朱と緑の色面によって画面を構成し、光に満ちた空間のなかでの母と子の交歓の場面を描いた《母と子のスペース》により洋画家の登竜門として名高い安井賞を受賞します。さらにこの頃、愛知県立芸術大学の創設に際して絵画科の指導者の一人として招聘され、また愛知県在外研修員としてヨーロッパ留学を経験します。留学中に島田は「キュビスムを日本人の言葉(造形)に翻訳」することを自らの課題として見出しました。その答えが、幾何学的に構成された日常的な情景に組み込まれた人間像「かたちびと」です。

 戦後日本の美術界は、海外から抽象絵画の動向が紹介され、それに大きく揺れ動かされていました。そのなかで島田はあくまでも人間像を描き続け、具象絵画の新たな可能性を探求しました。今回の展覧会では、そうして独自の絵画表現を確立したこの画家の軌跡を、油彩画・版画など全約120点により、あらためて検証します。

基本情報

[会期]

2011年9月16日(金)〜10月30日(日)

[会場]

愛知県美術館(愛知芸術文化センター10階)

[開館時間]

10:00〜18:00
金曜日は20:00まで(入館は閉館の30分前まで)

[休館日]

毎週月曜日(ただし9月19日[月・祝]、10月10日[月・祝]は開館)、9月20日(火)、10月11日(火)

[観覧料]

一般 当日 1,000(800)円
高校・大学生 700(500)円
中学生以下無料
※()内は20名以上の団体料金

[主催等]

[主催]愛知県美術館、中日新聞社

[後援]愛知県・岐阜県・三重県・名古屋市各教育委員会

[協力]メナード美術館

関連イベント