映像プログラム
小田香『セノーテ』初公開
愛知芸術文化センター・愛知県美術館オリジナル映像作品の最新第28作、小田香監督『セノーテ』(2019年)の初公開を行います。オリジナル映像作品は、1992年の愛知芸術文化センター開館以来、1年に1本のペースで、映像表現の新たな可能性を切り開く、実験的な作品を制作する機会を作家に提供してきました。シリーズを統一するテーマとして「身体」を設定していますが、このテーマにその年ごとの作家がどのような解釈をし、アプローチしてゆくかが注目の一つとなります。
監督の小田香は、前作『鉱 ARAGANE』(2015年)で、ボスニア・ヘルツェゴビナのプレザ炭鉱に赴き、抗夫たちを密着取材して、暗闇の中で行われる過酷な労働とその環境を、静謐な映像で記録し注目を集めました。小田が今回挑むのは、一転して水中の世界です。メキシコ、ユカタン半島北部に点在する、セノーテと呼ばれる洞窟内の泉。水中撮影のため、ダイビングを学んで小田自ら撮影する、対象に身体ごと挑んでゆくアプローチは、『鉱 ARAGANE』から一貫するものです。
セノーテはかつてマヤ文明の時代、雨乞いの儀式のために生け贄が捧げられた場所であり、現在もマヤにルーツを持つ人々が近辺に暮らしています。小田は現代のこの地に住む人々にも取材し、集団的記憶や原風景を映像として立ち上げようと試みています。
基本情報
- [会期]
2019年6月16日(日)13:30~
上映終了後、小田香監督によるトークを行います。- [会場]
愛知芸術文化センター12階アートスペースA
- [観覧料]
入場無料
上映プログラム
『セノーテ』(原題:TS' ONOT 英題:CENOTE)
2019年、75分、デジタル
監督・撮影・編集:小田香
企画:愛知芸術文化センター
制作:愛知県美術館
製作:cinevɘndaval、FieldRain
製作助成:おおさか創造千島財団、野村財団
現場録音:アウグスト・カスティーリョ・アンコナ
整音:長崎隼人
プロデューサー/現地オーガナイザー:マルタ・エルナイズ・ピダル
声の出演:アラセリ・デル・ロサリオ・チュリム・トゥム、フォアン・デ・ラ・ロサ・ミンバイ
[小田香プロフィール]
2011年、ホリンズ大学(米国)教養学部映画コースを修了。卒業制作である中編作品『ノイズが言うには』が、「なら国際映画祭2011」NARA-wave部門で観客賞を受賞。2013年、映画監督のタル・ベーラが陣頭指揮するfilm.factory(3年間の映画製作博士課程)に第1期生として招聘(2016年、同プログラムを修了)。2014年度ポーラ美術振興財団在外研究員。2015年に完成させた『鉱 ARAGANE』が「山形国際ドキュメンタリー映画祭2015」アジア千波万波部門にて特別賞を受賞。