企画展
生誕100年 ジャクソン・ポロック展
Jackson Pollock: A Centennial Retrospective
ジャクソン・ポロックは1912年、アメリカ西部の街コディに生まれました。一家で西部を転々とした後、18歳の時、美術を学ぶためにニューヨークに出てきます。はじめは自国の地方主義の絵画やネイティヴ・アメリカンの芸術、またメキシコ壁画などに強い影響を受けましたが、やがてキュビスムやシュルレアリスムなど、ヨーロッパのモダンアートを本格的に吸収し始めます。そうした形成期を経て、戦後まもない1947年、ポロックはキャンバスを床に広げてその上一面に塗料を撒き散らす独創的なスタイルとテクニックによって、絵画芸術の新しい地平を切り開きました。その後ポロックの仕事は、カラーフィールド・ペインティングをはじめ、後続の絵画に大きな影響を及ぼすとともに、ハプニングなど、絵画や彫刻といった従来の枠を超え出た新しい種類の芸術をも引き起こしてゆきます。また、そのようなポロックの活躍に促されて、モダンアートの中心は名実ともにパリからニューヨークへと移っていったのでした。今日ポロックが現代美術の出発点とされる所以です。
本展は、このジャクソン・ポロックというエポック・メーキングな画家の生誕100年を記念して開催するもので、世界的には1998-99年(ニューヨーク近代美術館、テート・ギャラリー)以来12年ぶりの、そして我が国では実に初のポロック回顧展となります。また、ポロックの実作品が日本で初めて紹介されたのは1951年の第3回読売アンデパンダン展においてでしたが、それは当時の日本の美術界に強い衝撃を与え、数年後に結成される具体美術協会の活動などにも大きな影響を与えました。本展では、その1951年の展覧会で展示されたポロックの2作品(現在、ニューヨーク近代美術館蔵とインディアナ大学美術館蔵)も、60年ぶりに再び日本に来ます。これらの大きな国内的意義に加え、さらに本展は国外からも強く注目される二つの独自な切り口を備えています。一つには、ポロックのスタジオの実物大モデル、彼が使用していた画材、制作中の彼を捉えた映像や写真、さらにはそれらの映像や写真に写っているいくつかの作品の現物を会場で併せて展示することによって、一般に「アクション・ペインティング」の名で知られるポロックの成熟期の秘儀的な制作の核心に迫ってゆきます。また、ポロックを同時代的に取り上げたメディアの動向にも注目し、生前に彼の仕事を特集したアメリカおよび日本の新聞や雑誌と、それらの出版物に掲載された作品を並べて展示することで、ポロック芸術についての大衆的イメージがいかに形成されていったか、さらに、その中でいかにポロックが戦後アメリカの文化的ヒーローとして押し上げられていったのかといった問題にも鋭く切り込んでゆきます。
このように本格的なポロックの個展は世界的に見ても稀有であり、生誕100年を機に開催する本展は、このジャクソン・ポロックという巨匠の意義を見つめ直すまたとない機会となるでしょう。
基本情報
- [会期]
- 2011年11月11日(金)〜2012年1月22日(日)
1月3日(火)は特別開館します。 - [会場]
- 愛知県美術館(愛知芸術文化センター10階)
- [開館時間]
- 10:00〜18:00 (金曜日は20時まで、入館は閉館30分前まで)
- [休館日]
- 毎週月曜日(ただし1月9日[月・祝]は開館)、12月28日(水)〜1月2日(月)、1月10日(火)
- [観覧料]
- 一般 当日1,400円(前売・団体1,200円)
高校・大学生 当日1,000円(前売・団体800円) - [主催等]
[主催] 愛知県美術館、読売新聞社、中京テレビ放送
[特別助成]アメリカ大使館
[協賛]テラ・アメリカ美術基金、光村印刷
[後援]イラン大使館、名古屋アメリカンセンター、愛知県・岐阜県・三重県・名古屋市各教育委員会
[協力]日本航空、ルフトハンザ カーゴ AG、ルフトハンザ ドイツ航空会社
関連イベント
■映画上映会
「ポロック──2人だけのアトリエ」(エド・ハリス監督・主演、2000年)
[日時]2011年11月1日(火)、18:00開場 18:30開演 21:00終了予定
※映画上映に先立ち、あいちトリエンナーレ2013開催に向けた五十嵐太郎芸術監督からのメッセージをビデオでご紹介します。
[会場]愛知県芸術劇場大ホール(愛知芸術文化センター2階)
[主催]愛知芸術文化センター、あいちトリエンナーレ実行委員会
[企画]愛知県美術館、読売新聞社
[協力]中京テレビ放送
※鑑賞無料・事前申し込み制。
■嶋本昭三パフォーマンス
ポロックの芸術に強い刺激を受けた日本の前衛美術集団、具体美術協会。その設立メンバーの一人であるアーティスト嶋本昭三がパフォーマンスを行います。
[会場]愛知芸術文化センター 地下2階 フォーラム
※申し込み不要・観覧無料。当日、直接会場にお越しください。
■記念講演会
「ジャクソン・ポロック──その芸術と人生と遺産」
[講師]へレン・A・ハリソン (ポロック=クラズナーハウス・アンド・スタディセンター、ディレクター)
[日時]2011年11月12日(土)、13:30-15:00
[会場]愛知芸術文化センター12階 アートスペースA
[共催]名古屋アメリカンセンター
※申し込み不要・ 聴講無料(先着150名)。当日、直接会場にお越しください。
※講演には逐次通訳がつきます。
■シンポジウム
「ジャクソン・ポロックがいま私たちに語りかけること」
[パネリスト]藤枝晃雄(美術批評家、武蔵野美術大学名誉教授)、小西信之(美術批評家、愛知県立芸術大学准教授)、小池隆英(画家)、岸本吉弘(画家、神戸大学大学院准教授)
[モデレーター]大島徹也(愛知県美術館学芸員)
[日時]2012年1月7日(土)、13:30-16:00 (途中15分休憩)
[会場]愛知芸術文化センター12階 アートスペースA
※申し込み不要・ 聴講無料(先着150名)。当日、直接会場にお越しください。
■連続レクチャー (全4回)
[日時]11月27日(日) 14:00-15:00 「初期:自己を探し求めて」
12月4日(日) 14:00-15:00 「形成期:モダンアートへの参入」
12月11日(日) 14:00-15:00 「成熟期:革新の時」
12月18日(日) 14:00-15:00 「後期・晩期:苦悩の中で」
[会場]愛知芸術文化センター12階 アートスペースE・F
[講師]大島徹也(愛知県美術館学芸員)
※申し込み不要・聴講無料(先着50名)。当日、直接会場にお越しください。
■ギャラリー・トーク(学芸員による説明会)
[日時]11月26日(土) 、12月3日(土)、12月10日(土)、12月17日(土)の11:00-11:40
1月6日(金)、1月13日(金)の18:30-19:10
※申し込み不要・聴講無料。観覧券をお持ちの上、開始時刻に美術館ロビーにお集まりください。
■関連小展示
「ジャクソン・ポロックとポップカルチャー」
ポロックの芸術がアメリカや日本の大衆文化に与えた影響を、レコードやファッション、玩具等の実際のさまざまな商品から探ります。
[会場]愛知芸術文化センター地下2階 アートスペースX前通路展示ケース
[観覧可能時間]9:00-21:00
※毎月第1、第3月曜日、および12月28日から1月2日までは愛知芸術文化センターが閉館のためご覧いただけません。
■関連イベント
「光でドリッピング!―愛知芸術文化センターの壁がキャンバスに―」
タッチパネルでアプリに描いた絵が、プロジェクターを通して芸文センターの外壁に大きく映し出されます。
追加日程:12月16日(金)18:30-21:00、12月17日(土)18:00-19:30
[会場]愛知芸術文化センター 2階屋外オアシス21連絡橋、11回展望回廊(10階美術館から階段)
[主催]愛知芸術文化センター
[協力]名古屋工業大学 北川啓介研究室
※参加・観覧は無料です。
※雨天中止
■ワークショップ「ドリッピングに挑戦しよう」
ポロックの代名詞とも言えるテクニック、ドリッピングに挑戦するワークショップです。
[会場]アートラボあいち2F
住所 : 名古屋市中区錦2-10-30 TEL : 052-204-6444
地下鉄東山線・鶴舞線「伏見」駅下車1番出口より北東へ徒歩3分
[共催]はち
[協力]あいちトリエンナーレ実行委員会
※申し込み不要・参加無料。
※汚れてもよい服装でご参加ください。