[ 先生のためのプログラム:学校と愛知県美術館による鑑賞学習実践例 ] 「ジャクソン・ポロックに挑戦」

単元名 ジャクソン・ポロックに挑戦
ねらい ポロック作品を鑑賞し、ドリッピング技法を体験する。
対象学年 小5(4・5・6年可能)
指導の構成 (流れ) 1時間 鑑賞 / グーグル・デジタルミュージアムを利用し、作品を鑑賞する。
1時間 鑑賞・表現 / ポロック作品を鑑賞し,表現技法を試す。
準備教材 児童…絵の具セット、新聞紙
教師…ポロック作品(写真)、書画カメラ・プロジェクター、四ツ切り画用紙
学校名 半田市立花園小学校
教諭名 伊藤増代(2011年度)

実践のねらい

  • 美術作品を鑑賞することに興味をもち、積極的に活動を楽しもうとする。
  • 行為の跡が作品になる作品構成や色の使い方の工夫に気付き、そのよさを生かした作品の構想を練ることができる。
  • ドリッピングの技法を生かした作品制作を体験し、表現のおもしろさを味わうことができる。
  • 作品を通して表現方法の工夫に気付き、作者の心を感じ取ったり、今後の自分の制作表現に生かしたりするなど、造形感覚を養うことができる。

実際の様子

遠い外国の美術館の作品もPCを開いて"デジタル・ミュージアム"として見ることが可能となった。このことを知らせると同時に、日本にいても外国の作家の本物作品に出会える機会があることを知らせ、鑑賞に興味をもたせたいと考えた。

1時間目は、グーグル・デジタルミュージアムを利用し、ポロックの作品などを鑑賞した。美術館に入り部屋を選択し、ドアを開け、自分の目線で作品を見ていけることに驚いていた。(ただし、日本版が出来ていないことがネックではある。)見付けたことや感想をワークシートに記入。

ポロック生誕100年の記念展が、愛知県美術館で開かれることを知らせ、2時間目は、ポロック展のポスターから入った。作品写真を提示し、ギャラリートーク方式で鑑賞を深めていった。(「見る・聞く・話す」ことを意識させ、感じ取ったことを共有していく。)そして、鑑賞後、技法体験をすることを知らせた。アクション・ペインティング(行為の跡が作品になる)のジャンルにある作品であることを知らせ、「楽しそうだ。やってみたい。」という興味をもたせるようにした。また、作品の大きさや題名の付け方などにも着目させ「どうやって描いたのだろう」「どんな気持ちで、何を考えてこれらの作品を作ったのだろう」と質問を投げかけた。

表現については、絵の具と筆を使い、4、5人のグループでドリッピングを生かした作品を共同で制作させた。基調色を決めるためにキーワードを与え、グループで話し合って選択させた。(海・森・夢の世界など)それを元に各自が水の量を調整したり、たらす高さを考えたりして、一人が7~8本の線跡を残すようにした。「下書きをしなくても作品ができあがっていく」「きれい」「楽しい!」とたくさんの声があがった。ドリッピングの実践後、ポロック作品についての鑑賞の深まりを発表させ、授業をまとめた。

感想および今後の課題

児童にとって、学校生活で学んできた絵画は、「下書きをし筆を使って描く」であった。それとは全く異なる技法で描いても、"作品になる"体験は初めてであり、今回の鑑賞・表現体験を目を輝かせ楽しんでいた。技法の一つとして、また、自己表現の手段の一つとして、ポロック展を機にドリッピングの技法体験ができたことはよかった。ただ、鑑賞・表現で一時間としたため、作品の裏にあるポロックの苦労・心までは思いを巡らせる余裕がなかったことは残念であった。

今回の展覧会ではポロックのアトリエが再現された。そこに立ち、ポロックになった"気分"を味わうことのできる贅沢な展覧会である。こういった機会をとらえ、是非、"本物との出会い"を体感していってほしい。

制作風景1
制作風景2
生徒の作品
板書1