見どころ


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(1)川瀬巴水《井之頭の春の夜》
1931年 木版、紙

(2)《メソポタミア円筒印章〔闘争文〕》 紀元前2334-2193年
木村定三コレクション


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(3)戸張孤雁《煌めく嫉妬》 1924年
石膏原型とブロンズ

(4)パウル・クレー《蛾の踊り》 1923年
油彩転写素描に鉛筆・水彩、紙

(5)坂本夏子《Painters》 2009年
有色油性下地に油彩、画布

うつし、うつくし(所蔵作品による)

私たちは日常的に「うつす」行為をし、「うつされた」ものを使っています。写真や録音された音楽、身の回りの工業製品はもちろん、お札や小銭も印刷やプレスによって大量にうつされたものです。近年では、パソコン上で既成の画像や文字のデータの一部を複写・貼り付け(コピー&ペースト)して利用する行為も一般化しています。
オリジナリティが重視される美術作品においても、うつしたり、うつされたりすることが多くあり、それは制作過程での技法・技術的なことがらであったり、作者が表現の意図としておこなっていたりと様々です。この展覧会では、「うつし(写し・映し・移し)」による美術の創造を、愛知県美術館の所蔵作品でご紹介します。

例えば版から紙に転写する版画は、もともとは同じ絵を複数作るための方法でしたが、版画ならではの表現に昔から多くの人々がひきつけられ、多様な技法が創出されてきました。今回は版画作品とともに、多色刷り木版画の版木やその下絵、銅版画プレス機や銅板も展示し、エッチングやドライポイント、アクアチント、メゾチントといった版画技法についてパネルで解説をします。
立体作品や金工などでは、型をとって別な素材に「うつす」という行為が制作と密接に関わります。中国や日本古代の銅鏡や瓦、近代のブロンズ彫刻、人体から直接型を取った現代の作品など、ふだんは一緒に並ぶことのないような作品を同じ空間に集めます。さらに今回は、大正期の彫刻家戸張孤雁や中原悌二郎の石膏原型とブロンズを並べて展示します。原型の微妙な凹凸がブロンズにどこまで再現されているのか、材質や仕上げの違いによって同じ形の作品の印象がどう異なるのかなどをお見比べいただきます。

絵画の場合、何枚もの部分スケッチや習作を引き写しながら試行改良を重ねて作った下絵をもとに本画を描いたり、過去の作品から一部分や構成などを借りて新しい作品をつくったりすることもよくあります。下絵と本画、引用、絵の中に別な絵を描いた「画中画」、パロディやオマージュなど、制作のプロセスや作品と作品との繋がりも興味深いものです。

現代では写真やビデオ映像を加工・利用したり、物体や生きた動物などの痕跡を取り込んだ作品などがあり、また同じイメージを写真・絵画・版画・立体など異なる技法・素材・次元にうつしかえることによっても、新たな作品世界が生み出されています。「うつし」による表現の広がりと豊かさをお楽しみください。