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うつし、うつくし(所蔵作品による) 私たちは日常的に「うつす」行為をし、「うつされた」ものを使っています。写真や録音された音楽、身の回りの工業製品はもちろん、お札や小銭も印刷やプレスによって大量にうつされたものです。近年では、パソコン上で既成の画像や文字のデータの一部を複写・貼り付け(コピー&ペースト)して利用する行為も一般化しています。 例えば版から紙に転写する版画は、もともとは同じ絵を複数作るための方法でしたが、版画ならではの表現に昔から多くの人々がひきつけられ、多様な技法が創出されてきました。今回は版画作品とともに、多色刷り木版画の版木やその下絵、銅版画プレス機や銅板も展示し、エッチングやドライポイント、アクアチント、メゾチントといった版画技法についてパネルで解説をします。 絵画の場合、何枚もの部分スケッチや習作を引き写しながら試行改良を重ねて作った下絵をもとに本画を描いたり、過去の作品から一部分や構成などを借りて新しい作品をつくったりすることもよくあります。下絵と本画、引用、絵の中に別な絵を描いた「画中画」、パロディやオマージュなど、制作のプロセスや作品と作品との繋がりも興味深いものです。 現代では写真やビデオ映像を加工・利用したり、物体や生きた動物などの痕跡を取り込んだ作品などがあり、また同じイメージを写真・絵画・版画・立体など異なる技法・素材・次元にうつしかえることによっても、新たな作品世界が生み出されています。「うつし」による表現の広がりと豊かさをお楽しみください。 |