学校と愛知県美術館による鑑賞実践例

制作物・感想のダウンロード

かさかさな絵を描こう!
対象作家・作品 アンドリュー・ワイエス
《昨夜》、《鉄兜》(《松ぼっくり男爵》のための習作)、《鷹の木》
実施日 平成21(2009)年1月24日(土)
実践タイトル かさかさな絵を描こう!
ねらい ドライブラッシュを体験して、ワイエスの作品を感じよう。
準備物 筆、水彩絵の具、紙パレット、ティッシュ、スポンジ、対象作品の輪郭線が印刷された画用紙、ワークシート、探検バッグ
対象学年 小4〜中学生
指導の構成
(流れ)
グループ分け → ワークシートを使い作品鑑賞(対象作品3点) → 制作 → ワークシートを使い作品鑑賞(制作した作品)感想を記入 → ワイエスになりきって今回の感想を発表
参加人数 19名
指導者氏名
関係スタッフ
指導教員:伊藤増代(武豊小)、藤澤繭子(常滑西小)、小林克敏(成岩中)、横井時仁(大府南中)、舟橋周作(小牧工業高)、記録・サポート:学生アシスタント
 

【当日の様子】

ドライブラッシュ作品を中心に、作品をじっくり鑑賞していきます。

作品の中で気がついたことや感じたことをワークシートに書き込みます。

ドライブラッシュでは、筆についた水分をティッシュでふき取ります。

見本となる作品のコピーを横に置き、描きこんでいきます。

【プログラムのねらい】

 本展覧会ではワイエスの水彩画の特徴的な技法である「ドライブラッシュ」を用いた作品が多数出品されている。このドライブラッシュを体験する活動を通して、技法という視点からの鑑賞ができないかと考えた。

【プログラムの内容(実際の様子)】

 子どもたちを学年別に4つのグループに分けた。机の上にはワークシートと絵のおおまかな構図を印刷した画用紙をセットしておいた。
オリエンテーションでは、担当する教師が自己紹介をし、今日の活動についておおまかに説明をした。
 次に、ロビーから展示室に移動し、ドライブラッシュを使った各作品の前で、担当の教師が子どもたちとギャラリートークをおこなった。初めは恥ずかしがってあまり発言しなかった子もこちらが「どんな感じがする?」「どこをみてそう思った?」などの質問を繰り返すうちに、次第に発言するようになった。《松ぼっくり男爵》の作品を見ていた子どもは、「葉っぱのあたりはかさかさした感じがするけど、水が多く使われているところもある」「細かく描かれているところと、何も描かれていないところがあるのがふしぎ」などの発言があった。作品を細部と全体の両方から鑑賞している様子が見られた。絵を鑑賞して気付いたことは、ワークシートにメモさせるようにした。
 3つの作品を鑑賞した子どもたちは、再びロビーに戻り、ドライブラッシュ技法の実技に入った。はじめのうちは、子どもたちから「意外とむずかしい」「思ったように筆がかさかさにならない」という声が聞かれた。実技では、筆に水を少なめに溶いた絵の具をつけ、おおまかな構図が印刷された画用紙にドライブラッシュの技法をまねて色を着けていった。体験後のワークシートには「色の濃さかげんが難しく、明るい感じになってしまった。先にうすく水を混ぜてぬったのかな」という感想も見られた。子どもたちが、体験を通して作品の鑑賞を深めていることが分かった。
 実技体験後、再び展示室に移動し、個人で自由に作品を鑑賞させ、ワークシートに感想を書かせるようにした。最後にみんなで、活動のまとめをした。感想はインタビュー形式にし、ワイエスになったつもりで、難しかったところや工夫したところなどを発言させるようにした。《ジャックライト》を鑑賞した子のワークシートには「シカの顔のところは、たぶん始めに白で塗ってから、ドライブラッシュをしていると思う。一部削っているようなところも見られた」と書かれていた。作品を技法という側面から鑑賞できている様子がみられた。また、《鷹の木》を鑑賞した子のワークシートには「はじめ、悲しい感じに見えたけど、どこからか春のにおいがするなあ」と書かれており、体験前に持った印象と体験後に見たときの印象に変化が見られた子もいた。

【今後の課題】

  • 小学校中学年には難しかった。
    小学校4年生から中学校2年生までを一緒に扱うのは難しい。発達段階に応じた教材開発が必要である。
  • 自分とワイエスの比較に終わってしまった。
    「作品と自分の描いたものを見て、思ったことを書きましょう。」と書かれてあると、小学生は字面のまま受け取って、比較に終わってしまう傾向にある。ワークシートの言葉を精選する必要がある。
  • 設定時間が短かった。
    活動内容に対して時間が短かったため、子どもたちが活動に集中し始めたところで終わらなければならないという状況になってしまった。3時間くらいあればよい。
  • 子どもたちの動きがスムーズにいかなかった。
    事前のスタッフの打ち合わせ時間が少なかったため、初めの鑑賞の鑑賞の段階で子どもたちの動かし方が分からず、いなくなったグループを探さなければならないということがあった。事前にもう少し動きの打ち合わせができればよい。
  • 指導者の技法に対する知識が不足していた。
    ドライブラッシュを実際に指導したことのあるスタッフがおらず、本を調べたりワイエスが制作する映像を見たりしてドライブラッシュについて研究したが、技法に習熟するまでにはいかなかったため、指導するのが難しかった。もっと技法について研究できればよい。